NO.8 気のバランス

 
この世の中の常識からすると、弱いよりは強い方が良い! と思うに違いありませんが、東洋医学的視点からすると、ただ強ければ良い! という事でもなさそうです。もちろん、弱すぎることも良くありませんが、両極端ではまずいのです。
 

何事もバランスが大切! 
このような視点から、身体の臓器を見てみましょう。
 
身体の仕組みはジャンケンによく似ています。
  ジャンケンにはグウ、チョキ、パーと3種類の手
 
東洋医学は 木、火、土、金、水 の五つのグループ
グウはチョキに勝ち、パーに負ける。
チョキはパーに勝ち、グウに負ける。
パーはグウに勝ち、チョキに負ける。

 
 
東洋医学的なもののとらえ方として、ジャンケンによく似た考え方があります。ジャンケンはグウ、チョキ、パーの3種類の手の形による相関関係がありますが、漢方では人間の身体を、木、火、土、金、水 (火水木金土でなく、このような順序で呼ぶ)の5つのグループに分けて、それぞれグループの力関係(相互間のバランス)から、身体へのケアーを行ないます。
 


 

五行説

 暦(カレンダー)では、日月火水木金土と7日を基本単位にしますが、漢方医学では、日、月を除いて、木火土金水 の五つを基準にします。内臓のことを五臓六腑といいますが、上の図では五臓(五つの臓器)を 木 火 土 金 水 の五つのグループに区分けした図です。ご覧ください。


相生

 外枠に相生という矢印(時計回りの矢印)があります。相生とは相手を支えるという意味があり、例えば、火のグループの心臓 を支えるのが、木のグループの肝臓 です。(木を燃やすと火が起こるように)そして、木のグループの肝臓 は、水のグループの腎臓 に支えられています。(木に水を与えると木は元気になる)

例)肝臓の健康にはいつでも腎臓の気が満ちている必要があり、腎臓の健康には肺(肺臓)が気に満ちている必要があります。というように、相生の関係とは、他の臓器を支えるという意味です。

相克

 火の勢いを弱めるには、「火」に「水」をかければよいのですが、火のグループの心臓は、水のグループの腎臓にその働きを制御されています。腎臓の働きが一方的に強くなると、反対に心臓の働きは弱くなってしまうのです。
 
 このようにただ強ければ良いということでもなく、一方が強すぎると他方が弱くなるということがありますから、各臓器間の相互のバランスが大切になります。相剋には相手を牽制するという意味合いが含まれています。


まとめ

専門的な難しいことを理解する必要はありませんが・・・
ただ、今の世の中の価値判断からすると、例えば、「あなたの心臓は実(強いこと)ですよ」と聞けば安心し、逆に、「あなたの肺は虚(弱いこと)ですね」と聞けば、肺が病気にでもなったのだろうかと不安になるというような、単一的な物の見方では、気の世界から健康を理解することは難しいようです。

注)漢方医学や気功など、中国系の東洋医学では、強い部分を「実」、弱い部分を「虚」と表現します。

 
どれか一つの臓器が一方的に強すぎてもダメ。強すぎる分だけ、どこか別の臓器がそのための負担を背負います。また、どれか一つの臓器が一方的に弱っていても、もちろんダメです。大切なのは各臓器間の気のバランスがうまく整っていることです。
 
このような「各臓器間の気のバランス」という考え方は、私たち日本人には馴染みの薄い考え方ですが、身体全体の調和が大切だということをここではご理解ください。