NO.57 トラウマ解消

 
前回、バーストラウマ（心の傷）について触れましたが、如何だったでしょうか。
 
ある女性は、記述式内観を体験することによって、ご自身が、お母さんのお腹の中にいた時（胎児だった時）のことを思い出しました。思い出された場面は、当時、妊娠中だった彼女の母親が、姑さんとの関係から、精神的にとても不安定になってしまった姿でした。彼女のお父さんとお母さんと会話のも思い出されました。
 
「ねえ、あなた、私は、今、この子（記述式内観の参加者さんのこと）を産むのは無理かもしれないです。産んでも育てる自信もないし、どうしたらいいのでしょうか」
 
「うん、そうだね～～　お前が、そう言うのなら、残念だけど、今は、その時期ではないのかもね～～」と、人工妊娠中絶について、夫婦（彼女の両親）の間で話し合 っている場面でした。
 
まだ、お腹の中に居るわけだし、この世の中に出て来た（誕生）わけでもないし、胎児なのだから大人が話している言葉の意味なんて分からないだろうから・・・　ということで。でも、でも、まさか、このような話が、自分のお腹の中にいる子供に聞かれるなんて。　ちょっと迂闊（うかつ）でした！
 
ご両親は、お腹の中にいるデリケートな心の持ち主の赤ちゃん（彼女）の気持ちなど、まったくお構いなしに、 実に、実に、怖～～い話をしていたのですが、その会話の一部始終をお腹の中で聞いていた彼女からすれば、それは、それは、本当に、本当に、恐ろしいことだったのでしょうね。
 
あなたも、その場面を想像してみてくださいよ。
人工妊娠中絶をされるということは、まさに、自分自身の命が絶たれてしまうということ。
安らからに、健やかに、ゆったり、のんびり成長しながら過ごせるはずのお母さんのお腹の中で、彼女は、まだこの世に誕生していないといのに、「死の恐怖」を感じてしまったのです。
 
それから、月日が経ちました。その時の「恐怖」が原因だったのか、それとも別の原因からなのか、青春時代の頃になると、彼女は大きな悩みに押しつぶされそうになったのです。どこからともやってくる不安から逃れるために、食べる。吐く。食べる。吐く。を繰り返したそうです。
 
今流にいうと、摂食障害ということになるのでしょうか。
彼女の話を聞かせてもらった私には、摂食障害の苦しみの体験がないので、彼女の苦しみそのものが、どれほど辛かったかを本当には理解することはできません。でも、彼女の話から察するに、本当に、本当に、辛い、辛～～い、日々だったようです。
 
「ああ～～　この悩みから、どうにか解放されたい！」ということで、今から７年程前、癒しク リエーションで主宰しています「記述式内観」に参加されました。
 
もちろん、最初に記述式内観を体験されたときには、お母さんのお腹の中であのような事件が起きていたなんて、まったく知る由もないことですから、ごく、ごく、一般の方のように、お母さんに対するわだかまった気持ちを書いて、「あ～～　あ～～　何となく、気持ちがスッキリしたのかな～～」という感じで、帰宅されましたが・・
 
日を改めて記述式内観を受けにいらっしゃった２回目の時に！
 
まったく予期せぬことでしたが、彼女自身が、お母さんのお腹の中にいた時のことを、偶然というか、いや、必然だったのでしょうね。　思い出したのです。はじめのうちは、彼女自身が、とても信じられない。というような顔をしていました。
 
「え～～　これって、本当の話なの？」
「自分が、お母さんのお腹の中にいることを思い出すなんて、そんなこと、本当にあるの」
「これって、私の妄想なのでは？」
 
そこで、私は彼女に言いました。
「頭で判断しないで、あなたの心から湧いてくることをそのまま書いてみて下さい！」
 
再び、自分の席に戻って、あの時の、あの恐怖の思いを書き始めました。
 
ポロポロと大きな粒の涙を流しながら、書いて、書いて、書き尽くしたその時に、彼女の言葉を借りてお伝えすると、「恐怖が絶頂感に達したと感じられたその瞬間に、フワッ　と胸の辺りに大きな穴が空いたような感じがして、今まで感じていたすべての恐怖が一瞬のうちに過ぎ去って、その次の瞬間から、胸の辺りに空いた大きな穴から、暖かい空気のようなもの（雰囲気）が入ってきました」というのです。それからというもの、彼女は、長年の苦しみから解放されたそうです。
 
それから約一年半後の事ですが、癒しクリエーション内のスタッフ研修会に、ゲストとして数名の方をお誘いしたときに、その方もいらっしゃったのですが、その時たまたま研修会の内容が呼吸法（とても激しい呼吸を意図的に繰り返すことにより変成意識になる）だったのですが、彼女にも被験者になってもらいましたが、その際に、記述式内観の時に感じたよりも、更に更に深い意識の中に眠っていた、その当時の恐怖心が、再び彼女の表面に現れたということのようです。
 
もちろん、記述式内観だけでも、意識の深い部分に眠っている恐怖心なども完璧に処理することは可能ですが、個人差がありますから、この方の場合には、前回の記述式内観を受けて頂いた時点では、まだ完全に死の恐怖からは解放されきれていなかったようです。その時の様子について、彼女からのお便りを頂きましたので、ご紹介させて頂きます。

「記述式内観の最終段階で、私は母のお腹の中にいた時の苦しみを書き出しました。 あの(胎児の)時の苦しみを書き尽くしたおかげで、私の人生はガラリと変わりまし た。あれから約一年半、その当時の恐怖は、私の中からスッカリ消えたものだと思って過ごしてきましたが、呼吸法を受け、そこで驚きの体験をしたのです。
 
全身が痺れ硬直し、息が出来なくなり、体が何かに押し潰されるような激痛に襲われ ました。あまりの苦しさに時間を忘れ、ただひたすらその痛みを感じ続けていると、 ある瞬間「あの時と同じだ！」という思いがやってきました。
 
それは、私がこの世に 産まれ出てくる時に感じた痛みでした。体が憶えていたのです。そして私は「死にたくない！」と叫びました。思わず口にしたその一言に、驚きました。私の体は、まだ あの時の死の恐怖を抱えたままだったのです。呼吸法によってその恐怖がやっと消え、何か、堅い蓋が取れた実感があります。
 
これまでずっと、失うことを恐れるあまりに、外へ出せずに滞り淀んでいたエネルギ ーが、やっと静かに流れ始めた感じがしています。ちょうど胸の辺りに、ずっと求め続けてきた何か、永遠に減りも無くなりもしない何かが、スッポリとはまったような感じで、あの日以来、言い様のない安心感に包まれています。そして、やっと生きる気力が湧いてきました。これからの変化が、楽しみです」

 
○○さん、お便りありがとうございました。この方のように、過去に起きたショッキングな出来事は、本人の記憶から忘れ去られているだけで、その実体は消えてはいないということが多いようです。
 
ご紹介しました体験談は呼吸法のことについてでしたが、現在、癒しクリエーションでは、トラウマ（心の傷）解消の為に呼吸法を使っているということではございません。なぜかと申しますと、体験談にも書いてありますように、激しい呼吸を伴うテクニックであるために身体に多大な負荷がかかること、そして、※追体験として、極度の苦痛を伴うことがあるという事からして、誰に対しても適切な方法ではないと判断させて頂いたからです。
 
※追体験とは、過去に経験した感情等を再び体験するという意味合いです。 体験するとは「味わう」ということに置き換えて頂いても結構です。
 
研修会ではスタッフの方に対して、見聞を広めるための一つの経験として、世の中にはこのような方法でトラウマ（心の傷）を改善されている団体もありますよ。ということで、ある呼吸法を紹介致しましたが、「苦しいのは、あまり好きでないな～」という性格なので、個人的には、私好みの方法（テクニック）ではございません。
 
それに対して、エネルギーボディーワーク「エネルギー（氣）を意識したヒーリング方法⇒気功もその１つ」は私が一番好きな世界なのですが、こちらの世界からすると、トラウマ（心の傷）は、その人自身のエーテル体、アストラル体に刻まれた傷（不調和な波動）として捉えることができるので、ヒーリングエネルギー（氣）によって、その不調和な波動を処理することさえできれば、あえて激しい呼吸法をしなくても、また、息苦しいような追体験をしなくても過去のトラウマ（心の傷）を消すことは可能となります。
 
癒しクリエーションでは「あ～～　とても、気持ちいいな～」という感覚を前提としていますので、なんとな～く、リラックスして、横になっていただいているだけで、トラウマ（心の傷）の改善がなされたら最高だと考えております。
 
ご紹介致しました体験談（呼吸法）が強烈だっただけに、誤解されてしまう方もいらっしゃるかもしれませんし、また、すでに呼吸法等々をご存知の方、又は体験済みの方の中には、そのように感じていらっしゃる方がいらっしゃるかもしれませんので、あえて申し上げますが、トラウマ（心の傷）の改善には「必ずしも苦しみを伴う必要がない」ということをご理解頂ければ幸いです。
 
私個人の見解ですが、パニック障害や極度の心配症、緊張症、被害者意識、などなどは、過去のトラウマ（心の傷）と関係しているような気が致しますので、そのような事にお悩みの方がいらっしゃいましたら、気軽にご相談下さい。少しでもお役に立てれば幸いです。直接気功の他、遠方にお住いの方に対しては、遠隔気功での対応も可能です。よろしくお願い致します。